葬儀までの準備の一つ「納棺」について

家族が亡くなってから葬儀までの間にすることの一つに「納棺」があります。これは文字通り「棺桶に故人を納めること」なのですが、ただそれまで寝ていた布団から棺桶に移すわけではありません。納棺の作業としては、まずは故人の身支度です。整髪、爪を整え、死化粧を施し、男性ならばひげそりをします。

そして、仏教式ならば経帷子、神道式ならば白の小袖に着替えさせます。死装束は着物を左前に合わせ、上帯、手甲、脚絆に旅という旅のような装束で、三途の川の渡し賃といわれる六文銭も忘れず持たせます。それを納棺師と呼ばれるスタッフの指示の元に、遺族も着替えを手伝います。納棺師は少し前に映画になり注目されましたが、多くの場合は葬儀社のスタッフです。

遺族が着替えを手伝えない場合は、葬儀社で全て納棺準備をしてくれるので大丈夫です。装束が整ったら遺族が手伝いながら故人を棺に納め、それ以外の旅支度である杖、草鞋、網傘を一緒に棺に納めます。また、副葬品と呼ばれる故人の好きだった物を納めます。ただし、爆発物や燃えにくいものは入れられません。

そして棺の蓋を閉めて終了です。納棺は時間にしたら30分程度と長くはありませんが、近い親族のみで行う儀式なのでゆっくり故人と向かい合うことのできる大切な時間です。納棺師は淡々と作業をこなすだけではなく、遺族の悲しみと向き合いながら、できる限り故人を偲ぶ時間となるように会話や雰囲気づくりを演出してくれるので、納棺の作業が儀式のようになります。

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